2020年1月31日現地時間23:00(日本時間2月1日9:00)にイギリスは正式にEUを離脱しました。
現在、EU加盟国の携帯電話会社はDigital Single Market strategyの一環として域内での国際ローミングチャージを徴収しないよう義務付けられていて、たとえば次のようなイギリスのThree UKが発行するSIMはEU域内で本国と同様に利用できるようになっています。旅行者にも大変便利な仕組みですが、離脱に伴い今後イギリスキャリアのSIMのローミングがどういった扱いになる予定なのか少し調べてみました。
(ヨーロッパ旅行に便利なローミングSIM、こういったThree UK発行のものが日本でも購入可能)
トップシェアのEEによる説明
現在イギリス国内でシェア約28%を誇るEE(元T-Mobile UKとOrange)は、What impact will Brexit have on roaming?のページで次の点を説明しています。
- 離脱しても引き続き国内料金同様でのローミングが可能で変更の予定はなし
- 合意なき離脱の場合EU加盟27カ国の144のキャリアと個別交渉が必要になるが、すでに前向きな話し合いがされている
これを見る限り、2020年末の移行期間終了後すぐにローミングチャージが復活することはなさそうです。
政府からの声明
2019年4月には既にイギリス政府からも声明Using your mobile in EU and EEA countries after the UK leaves the EUが出されていて、これを要約すると次のような内容になります。
- 離脱後も引き続き2020年12月31日まではEU及びEEA諸国でのローミングチャージはかからない
- 2021年1月1日以降はローミングチャージ不要という保証はなくなる
- ただし、MNOのThree UK, EE, O2, Vodafoneは現時点ではローミングチャージを再開する予定はないと明言している
- 消費者保護の観点からもしローミングチャージが必要な場合は月間の上限を45ポンドに制限(現在はEU法により50ユーロに制限)
- 北アイルランドではアイルランドとの国境地帯において意図しないローミングチャージの発生を避けるよう携帯電話各社は顧客を保護しなければいけない
結論
今の所上記の動きを見る限りではローミングチャージが復活することはなさそうな感じです。あくまでイギリス側から見たものではありますが、逆にフランスやドイツ等のMNOの顧客がイギリスでのローミングをするときもあるわけでそのあたりは相互契約となっていることが予想されます。よって、2017年から始まったRoam like at homeに変化は今の所予定されていない様子です。